クラウド型の主要5社の「在庫管理システム」をプロが徹底解説

クラウド型の主要5社の「在庫管理システム」をプロが徹底解説

在庫管理システムとは、企業が保有する商品、部品、原材料などの在庫を効率的に管理し、最適化するための情報システムです。商品の入庫から出庫(あるいは受注・出荷)、保管、棚卸までの一連のプロセスにおける在庫情報を正確に把握し、業務の効率化や在庫の適正化を図ります。

在庫が多いと、資金繰りが悪化し、在庫保管費が増加したり廃棄リスクが高まりますが、一方で在庫が少なすぎると、販売機会を損失したり、納期が遅延するなど、顧客体験を損ないます。在庫管理で最も重要なのは「在庫をコントロール」することであり、そのために在庫管理システムが必要となるのです。

特に、「スマレジEC・一元管理」のようなクラウド型の在庫管理システムであれば、リアルタイムで在庫状況を把握できるため、正確な在庫コントロールが可能です。初期費用を抑えて導入できるため、スモールスタートには最適なシステムです。

クラウド型EC管理システム「スマレジEC・一元管理」

在庫管理システムは、主に「倉庫」や「ECの複数店舗」において在庫管理システムが利用されるため、この記事では、「倉庫向け」「EC向け」の2つについて紹介いたします。

本日は、スマレジECでマーケティングを担当している筆者が、在庫管理システムの構築方法について解説をいたしますので、今から在庫管理システムの導入を検討している方は、この記事を最後までご覧ください。

在庫管理システムは3種類「クラウド型」「パッケージ型」「フルスクラッチ型」

在庫管理システムは、EC型と倉庫型に関係なく以下の3つの種類に大別することができます。

◆在庫管理システムの比較表

項目 ①クラウド型 (SaaS) ②パッケージ型 (オンプレミス) ③フルスクラッチ型
初期費用 数万円~ 数百万円~ 数千万円~
費用形態 月額/年額の利用料
数万円~
ソフトウェアの買い切り + 保守費用
数十万円~
開発費用を一括支払い + 改修費用
数十万円~
導入期間 数週間から 数か月~ 半年~1年
機能性 在庫管理に必要な標準機能搭載。自動的に機能拡張 標準機能に加えて、自社の業務フローに合わせたカスタマイズが可能 完全に自社の業務に最適化された機能やシステム連携が可能
カスタマイズ性 設定によりある程度可能 柔軟にカスタマイズが可能 完全に自由にカスタマイズ可能
運用・保守 SaaSベンダーが行う 自社/保守業者が行う 自社/開発ベンダーが行う

導入のしやすさと初期費用の安さの面で見ると、クラウド型が最も適しています。月額制の費用形態であるため、スモールスタートが可能であり、システムの運用や保守をベンダーに任せられるので、在庫管理システムに関しては独自にセキュリティ対応をする必要がありません。クラウド型も年々機能性や、システム連携先(モールを含む)が広がっているため、以下のスマレジEC・一元管理のようなクラウド型の在庫管理システムは多くの企業で第一の選択肢となるでしょう。

スマレジEC・一元管理 公式サイト

次に、自社固有の業務プロセスや、特定の業界慣習に「カスタマイズ」によって対応したいというニーズがある場合は、パッケージ型が有力な選択肢となります。

パッケージ型は、専門性の高い機能があらかじめ組み込まれた上で提供されますが、それを自社の業務にフィットさせるためにシステム改修を行います。数百万円~数千万円の初期費用はかかりますが、自社の業務にあったシステムを作れるのが特徴です。

フルスクラッチは完全に自社の業務フローや特殊要件に対応した在庫管理システムを作る場合に選択されます。この形態は、機能性、カスタマイズ性、そして業務とのフィット感において極めて高い自由度がありますが、その分、費用も時間も最も多く必要となることを理解しておく必要があります。

昨今、在庫管理システムだけではなく、多くのシステム分野においてはクラウドやパッケージが機能性・拡張性を高めており、フルスクラッチの需要はあまり高くはありません。

クラウド型の在庫管理システム主要5社

それでは、クラウド型の在庫管理システムの主要5社を解説します。在庫管理システムには「EC向け」「倉庫向け」あるいは両方に対応したシステムがあります。

◆クラウド在庫管理システム主要5社(EC向け・倉庫向け)

企業名 タイプ 主な特徴 向いている企業
スマレジEC・一元管理 ECサイト向け 複数モール・自社ECの在庫と受注を一元管理。商品コード統合と自動在庫同期など一元管理が可能。さらにリピーター獲得施策や売上アップ機能、分析機能が豊富。 多店舗EC運営、モール横断管理を強化したい企業
ネクストエンジン ECサイト向け ECモールの受注・在庫を自動統合。多店舗・多拠点運用に特化。 複数モールを本格運用する中堅〜大規模EC
ZAICO(ザイコ) 両方 スマホ・PC対応のクラウド型。入出庫・棚卸・ロット・期限管理まで幅広く対応。 端末を問わず誰でも使える在庫管理が必要な企業
ロジザード 両方 ECにも倉庫にも対応するハイブリッド型 倉庫運用を本格化したいEC企業/複数倉庫・外部倉庫を使う企業
ロジクラ 倉庫向け スマホ操作で入出庫・棚卸が完結。ECチャネルや複数倉庫に強い。 EC事業者、倉庫作業のスマホ化を進めたい企業

参考:スマレジEC・一元管理ネクストエンジンzaico(ザイコ)ロジザードロジクラ

クラウド型の在庫管理システムが世に出てから20年を過ぎ、各社からさまざまな機能を備えた在庫管理システムが出現しました。特に、クラウド型の在庫管理システムが優れているのは以下の4点です。

◆クラウド型の在庫管理システムが優れている4つの理由

・リアルタイムの在庫状況を確認できる
・PCやスマホなどのブラウザーがあれば簡単に操作できる
・機能やセキュリティー自動的にアップデートされる
・TiktokShopなどの新しいチャネルと連携ができるようになる

通常では、在庫管理システムを自社のサーバーで保守することになると、機能やセキュリティーをメンテナンス作業する必要がありますが、クラウド型ではそのような点はベンダーに全てまかせることができますので、費用や工数で負担がなく、在庫管理業務や売上を高めるための分析業務に集中することができるようになるのです。

では、在庫管理システムには、具体的にどのような機能があるのか?「倉庫向け」と「EC向けに」それぞれ解説してまいります。

倉庫向け「在庫管理システム」の7つの機能

倉庫向けに活用される在庫管理システムにおける代表的な機能としては、以下の7つの機能が挙げられます。

◆倉庫向けの在庫管理システムの主要機能

機能①在庫管理一覧機能
機能②入出庫管理機能
機能③検品管理機能
機能④返品管理機能
機能⑤セット品管理機能
機能⑥棚卸機能
機能⑦マスター管理機能

これらの機能について、一つずつ解説します。

機能①在庫管理一覧機能

この機能は、現在の在庫状況全体をリアルタイムで把握するための中核となる機能です。倉庫、ロケーション(棚)、商品コード、在庫数、評価額など、すべての在庫情報を一覧形式で表示します。

担当者が「今、何が、どこに、いくつあるのか」を瞬時に確認できるようにすることで、欠品や過剰在庫のリスクを発見し、適切な発注や販売戦略を立てるための基礎情報となります。担当者がこの一覧で得られる情報を踏まえて、在庫のコントロールをするための機能です。

在庫が多いと資金繰り悪化・保管費増加・廃棄リスクが高まる一方で、在庫が少なすぎると生産停止・納期遅延・顧客迷惑につながりますので、まずはこの機能を使って、在庫の状況を可視化することが求められます。

機能②入出庫管理機能

入出庫管理機能とは、在庫の「増減」を正確に記録・追跡し、システム上の在庫数を常に最新の状態へ更新するための機能です。

商品が入庫するタイミング(仕入れ・返品受け入れなど)や、商品が出庫されるタイミング(販売・出荷など)ごとに、日付・数量・ロケーション(棚番)・担当者といった情報を記録します。これにより、下記のようなメリットが得られます。

◆入出庫管理機能のメリット

・在庫数のズレを根本から防止
・実在庫とシステム在庫の不一致を最小化
・過剰在庫・欠品のリスクを低減
・ベテランの勘に頼らない客観的・数値ベースの管理が可能

さらに、入出庫管理は在庫管理の基本であり、適正在庫(必要なものを必要なときに必要な量だけ)を維持するための中核機能ともいえます。工場だけでなく、ECや倉庫業務でも、まず最初に整えるべき重要な仕組みです。

機能③検品管理機能

入庫や出庫の際に、現物と伝票情報との照合を行い、人為的なミスを未然に防ぐ機能です。商品のバーコードやQRコードをスキャンし、システムに入力された発注データや出荷データと、現物の商品や数量が一致しているかを確認します。

ハンディターミナルやスマートフォンと連携させることで、検品作業のスピードと精度を大幅に向上させます。検品精度の向上は、在庫の可視化(どこに何がいくつあるか)を正確に保つ上で欠かせない要素でもあり、過剰在庫や欠品を起こさない「適正在庫管理の基盤」となる機能です。

機能④返品管理機能

顧客から返品された際の処理を記録・管理する機能です。返品された商品の状態(良品・不良品)、返品理由、数量、返金処理の状況などを記録し、在庫に戻すか、廃棄するかを決定します。

この情報を適切に処理することで、不良在庫の発生を把握し、業務改善に役立てることができます。また、良品在庫への正確な反映も行います。

機能⑤セット品管理機能

セット品管理機能は、複数の単品商品を組み合わせて一つの商品(セット品)として販売する際に、構成される各商品の在庫と自動的に連動させる機能です。セット品が売れた場合、システムは下記のように動作します。

◆セット品が売れると…

・セットを構成する各商品の在庫数を自動で減算
・セット品と単品の在庫状況を常に同期

これにより、在庫ズレの発生を防ぐことができます。また、構成品のうち1つでも欠品が発生した場合、セット品全体の在庫を自動で「ゼロ」表示します。これには、

・売り越し(在庫がないのに販売してしまう問題)を防止
・在庫チェックの手間を削減
・EC特有のセット販売における在庫リスクを解消

といったメリットがあります。この機能は、セット販売を多用するEC事業者やギフト商品を扱うショップにとって、非常に重要な機能といえます。

機能⑥棚卸機能

棚卸機能は、帳簿上の在庫数と実際に倉庫に存在する在庫数を一致させるために、現物を数え、差異を修正するための機能です。ハンディターミナルやスマートフォンを使って実地棚卸を行い、数量をスキャン・入力することで、システム上の在庫との差異を即時にチェックできます。

棚卸結果が正確であることで、下記のような多くのメリットが得られます。

◆棚卸機能のメリット

・在庫差異の原因(誤出庫・誤入庫・検品漏れなど)の特定
・入出庫プロセスの改善
・過剰在庫や欠品の早期発見
・在庫の可視化精度の向上
・決算時の資産評価の正確性確保

特に、棚卸は「必要なものを必要なときに必要な量だけ持つ」ための基礎データ にもなるため、適正在庫の維持に欠かせない重要な業務です。

機能⑦マスタ管理機能

マスタ管理機能は、在庫管理システム全体の基盤となる基礎データ(マスタデータ)を一元管理するための機能です。商品情報(商品コード・名称・単価)、取引先情報(仕入先・得意先)、ロケーション情報(倉庫・棚番号)など、システムの正確な運用に欠かせない静的データを登録・更新・維持します。

マスタデータが正確であることによって、以下のような各処理の信頼性が保証されるため、在庫管理全体の品質が高まります。

・入出庫処理
・検品作業
・セット品管理
・在庫分析・棚卸
・他システムとのデータ連携

逆に、マスタが誤っていると、在庫のズレや誤出荷、集計・分析の不整合、あるいは取引先とのトラブルなどが頻発し、在庫コントロールが不可能になります。

つまりマスタ管理機能は、適正在庫を実現するための土台となる、最も重要な管理領域のひとつといえます。

EC・通販事業者向けの在庫管理システムの5つの機能

ここからは、EC・通販事業者向けの在庫管理システムの機能を紹介していきます。代表的な機能としては、以下の5つの機能が挙げられます。

◆EC・通販事業者向けの在庫管理システムの主要機能

機能①受注管理の一元管理
機能②ECモール・カートとの連携
機能③顧客管理機能
機能④メール送信機能
機能⑤分析機能

これらの機能について、一つずつ解説します。

機能①受注管理の一元管理

EC事業者の多くは、自社ECサイトだけではなく、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど複数のチャネルに出品しています。これらをバラバラに管理していると、在庫数のズレが発生し、機会損失や二重販売(ダブルブッキング)につながるリスクがあります。

しかし、在庫管理システムの受注管理機能を活用することで、以下のような運用が可能になります。

・複数チャネルの注文を一つの画面で一元管理
・注文確定と同時に在庫を自動で引き当て
・売れた分だけ在庫数がリアルタイムに減少

これにより、在庫数のズレを防ぎ、欠品リスクを最小化できます。また、注文処理の自動化によって、ピッキングミスや出荷ミスも減り、作業効率の向上にもつながります。

機能②ECモール・カートとの連携

EC向けの在庫管理システムは、以下のようなショッピングモールと連携します。

◆連携先のショッピングモール

・Amazon
・楽天市場
・Yahoo!ショッピング
・au PAYマーケット
・TiktokShop
・メルカリショップ
・Qoo10

それだけではなく、自社ECサイト(カート)とも連携を行います。

◆連携先のカート

・makeshop
・fufureshop
・ショップサーブ
・カラーミー
・Shopify

また、スマレジEC・一元管理におていは、電話注文やFAX注文も取り込み、在庫管理の一括管理を行うことができます。

◆画像はスマレジEC・一元管理の各連携図

スマレジEC在庫管理システムの概要図

スマレジEC・一元管理

このように、EC向けの在庫管理システムには、チャネルが複数あるケースが多く、モールや各カートの連携して、一括管理が必要となるのです。

機能③顧客管理機能

EC向けの在庫管理システムには、多くの場合、顧客情報を一元的に管理するための顧客管理機能が備わっています。この機能により、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといった複数モールの顧客データや購入履歴を統合し、どの顧客がどの商品を購入したのか、どのチャネルが売上を牽引しているのかといった情報を把握できるようになります。

顧客ごとの傾向を分析することで、リピート購入につながる施策を設計したり、売れ筋商品の傾向を掴んで在庫計画の精度を高めたりと、マーケティングと在庫管理を結びつけた運用が可能になります。

機能④メール送信機能

この機能は、EC運営において顧客とのコミュニケーションを自動化・最適化するためのもので、顧客の購入状況や属性、チャネルを踏まえて、1to1で適切なメールを送信できる仕組みです。

例えば、以下のようにあらかじめ条件を登録しておけば、該当する顧客ごとに最適な自動的にフォローメールやキャンペーン案内が配信され、手動による作業負担を大きく削減できます。

◆メール自動差し込み機能

メール送信機能

スマレジEC・一元管理「メール送信機能」

さらに、顧客データベースと連携してセグメント配信を行うことで、リピート率向上やクロスセル、アップセルに向けたマーケティング活用も可能となります。このように、メール送信機能は顧客満足度の向上と在庫・販売の最適化を支える機能といえます。

機能⑤分析機能

分析機能は、EC事業者が持つ複数チャネル・複数店舗のデータをひとつに集約し、売上や在庫の動きを可視化するための重要な仕組みです。「店舗別集計」「商品別集計」「年代別集計」「期間別(年/月/日/曜日/時間)集計」「支払方法別・配送方法別集計」など、さまざまな切り口からデータを分析できます。

どの店舗が目標値を達成しているか、どの年代・性別のお客様がどの商品を好んで購入しているか、どの時間帯に注文が増えるか、といった細かい傾向を把握できます。

こうした解析を通じて、在庫をどのタイミングでどれだけ補充すべきかという判断精度が上がり、在庫の偏りや過剰在庫・欠品リスクの低減にもつながります。

また、以下の図をご覧ください。

◆グループ別のリピート率・金額集計

グループ別のリピート率・金額集計

分析機能(スマレジEC・一元管理)

上図のように、任意に設定したグループ単位での「リピート率」「購入金額」などを集計するオプションツールや、独自条件に基づいた CPM/RFM 分析まで用意されており、顧客の購買行動やセグメント別での施策設計にも対応しています。

このように、分析機能は単に数値を表示するだけではなく、マーケティング/在庫管理/販売戦略を結びつける「経営判断の軸」として機能します。EC事業者が複数モール・多チャネルで展開する現在、在庫管理の精度を高め、売上拡大・コスト削減を同時に実現するために不可欠な機能といえます。

「スマレジEC・一元管理」による在庫管理の最適化を進めよう

EC事業者が在庫管理システムを選ぶ際には、複数チャネルの在庫と受注を正確に統合できるかが重要な判断基準になります。

「スマレジEC・一元管理」は、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど主要モールと自社ECのデータを一か所に集約でき、在庫数の自動同期や受注の一元管理を標準機能として備えています。

売り越し防止、在庫ズレの抑制、受注処理の効率化といった実務上の課題に対して、必要な管理機能を過不足なく提供しているため、倉庫・店舗・ECをまたぐ複雑な運用をシンプルに整えたい企業に適したソリューションです。

また、在庫管理上の機能だけでなく、顧客管理やメール送信、分析機能も搭載されており、販売促進や顧客育成まで含めたEC運営全体の改善につなげることができます。

在庫管理と受注処理の精度を高め、EC運営を効率化したい場合、まずは、下記の公式サイトでスマレジEC・一元管理の機能を確認し、自社の運用に合うか検討することをおすすめします。

◆資料ダウンロードはこちらから

スマレジEC・一元管理 公式サイト

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