WEBカタログ(カタログサイト)とは、紙のカタログをオンラインで閲覧できるようにしたデジタル版のカタログのことで、パソコンやスマートフォンで冊子のページをめくるように商品情報を確認できます。印刷や配送の手間がなく、最新情報をすぐに更新できる点が特徴で、検索機能やリンクを通して商品の詳細ページへスムーズに誘導できる利便性の高い仕組みです。
BtoBでWEBカタログを利用する場合は、以下のようなメリットがあります。
◆WEBカタログの7つのメリット
①営業がURLを送るだけで、簡単に顧客に提供することができる
②WEBカタログに注文用のリンクを設置して、ECサイトとして販売することができる
③型番検索やスペック検索など、検索性が向上する
④HTMLよりも「一覧性」に優れている
⑤客先や現場での印刷利用がしやすい
⑥常に最新版を表示できるため「古い価格・廃番」の表示を防げる
⑦分析機能で顧客ニーズをつかむことができる
特に、HTMLでは再現が難しい「WEBカタログならではの一覧性」や、ECサイトと連携した「注文導線」などは、WEBカタログならではの機能であるといえるでしょう。
BtoB受発注システム「スマレジEC・B2B」は、このようなWEBカタログと連携することにより、商品閲覧から発注までのプロセスをスムーズに結びつけられるため、営業担当者の案内負担を減らしながら、顧客側の利便性も大きく向上します。
本日は、スマレジECでマーケティングを担当している筆者が、WEBカタログについて解説をいたしますので、WEBカタログを検討しているご担当者は、この記事を最後までご覧ください。
WEBカタログの使った3つのBtoB事例
まずは、WEBカタログを活用しているBtoBサイトの事例を紹介いたします。
BtoB事例①ミスミのデジタルカタログ
以下は「ミスミ」のデジタルカタログサイトです。ミスミは工場の製造現場で使われる機械部品や工具、FA関連部品などを企画・販売する日本の大手企業で、多種多様な部品を短納期で提供できる独自の仕組みが強みで、製造業の調達先として知られています。
◆ミスミのデジタルカタログ

引用:デジタルカタログ | MISUMI
多くの部品を取り扱うミスミでは、自社営業が接点を持つ見込み客や既存客に限らず、ホームページ上で最新カタログを公開することで、営業が直接アプローチしていないユーザーにも情報を届けられる仕組みを整えています。
紙のカタログと異なり、常に最新の内容に更新できる点も大きなメリットです。PCやタブレットで閲覧した際には、実物のカタログをめくっているかのようなインターフェースが特徴で、ユーザーは違和感なく情報を確認できます。
また、PDF形式の資料はダウンロードや印刷にも対応しているため、社内で他の商品と比較検討しやすい点も利用者にとって利便性が高い仕組みとなっています。
BtoB事例②ニトリの企業向けカタログ
BtoCの家具で有名なニトリは、BtoB事業も展開しております。下記の企業向けのカタログサイトをご覧ください。
◆ニトリの企業向けカタログ

引用:ニトリの企業向けカタログ
ニトリでは、法人向けの家具やオフィス什器、業務用備品を幅広く取り扱っており、企業の設備導入や店舗づくりを支援するために、「1つのWEBカタログ」を活用しています。
紙のカタログでは誌面の制約から掲載できる情報が限られてしまいますが、たった1つのWEBカタログであれば、商品の仕様、サイズ、カラー展開、使用イメージなどを豊富な画像とともに確認できます。
まるで実際のカタログ紙面のように写真が魅力的にレイアウトされた画面から、必要な商品を発見して見積や注文の依頼をおこなうことができ、店舗開業やオフィス移転など時間の制約が大きい法人顧客にとって利便性が高いカタログです。
BtoB事例③モノタロウのWEBカタログ
BtoBのECサイトで特に有名な「モノタロウ」ですが、下記のようにWEBカタログもサイト上で展開しております。
◆モノタロウのWEBカタログ

画像引用先:カタログのご案内 【通販モノタロウ】
モノタロウは、工具・消耗品・部品類を中心に数百万点の商材を扱うBtoB向けECサイトであり、商品点数の多さゆえに、WEBカタログとの相性が非常に良い企業です。紙のカタログであるRED BOOKをそのままデジタル化したWEBカタログでは、大量の商材を一元的に閲覧できる点が大きな特徴です。
もし、これをモノタロウの通常のサイト上で確認しようとすると、商品点数が多いカテゴリーほど一覧での把握が難しくなりがちですが、WEBカタログであれば誌面のように見開きで俯瞰できるため、例えば、ネジやワッシャーなど、型番の種類が非常に多い商品群でも比較検討がしやすくなります。
用途別やサイズ違いをページ単位で確認できるため、紙のカタログと同じ感覚で整理された情報にアクセスでき、現場担当者や調達部門にとって効率的な情報収集が可能になります。
しかも、モノタロウのWEBカタログは「型番」をクリックすると、そのままECサイトの該当商品ページに遷移する注文機能も備えているのです。
ここでは、3つのBtoBのWEBカタログ事例を紹介しましたが、実際にBtoB企業がWEBカタログを導入すると、どのようなメリットがあるのか?次に解説いたします。
WEBカタログを導入する企業の7つのメリット
それでは、WEBカタログを導入することで企業が得られるメリットを、重要度が高い順に解説いたします。
メリット①営業がURLを送るだけで、簡単に顧客に提供することができる
実際の紙のカタログは営業社員が手渡ししたり、郵送するなどの必要がありますが、WEBカタログであれば、メールやチャットで簡単にWEBカタログを提供することができます。また、見込み客や、既存顧客に対してメルマガなど一斉メールで送付することもでき利便性も紙のカタログに比べて極めて高くなります。
メリット②WEBカタログに注文用のリンクを設置して、ECサイトとして販売することができる
WEBカタログに注文用のリンクを設置することで、カタログ自体をECサイトとして受注することができます。商品説明を読んだ流れのままカートに進めるため、商品を探す流れを止めることなく、そのまま注文手続きへ進めます。
PDF形式のカタログであれば、「Adobe Acrobat」などのPDF編集ツールを使って、ボタン・テキスト・画像など任意の箇所にリンク属性をカンタンに付与できます。リンクは、ECサイトや専用の申込フォームがあれば、そのリンクが注文用のリンクとなります。
メリット⑤HTMLよりも「一覧性」に優れている
とにかく大量の商品を一度に一覧で見たい!というような需要がある場合は、WEBカタログはHTMLよりも一覧性にすぐれているのが特徴です。例えば、下記の「モノタロウのWEBカタログ」をご覧ください。
◆モノタロウのWEBカタログは一覧性に優れている

このように、HTMLでは難しい細かい数字も一覧で表現しやすいメリットがあります。さらに、そのまま印刷することで、担当者は商品をしっかり確認することもできます。
カタログの大きな利点は、決まった型やフォーマットに縛られず、商品の魅力を思い通りのデザインで表現できる点です。ホームページの場合は、HTMLというマークアップ言語を使って構築されるため、どうしても表現の幅に制限が生まれます。一方、紙のカタログを基に作られたWEBカタログであれば、紙と同じレイアウトやデザインをそのまま活かせるため、より自由度の高い表現が可能になります。
下記はニトリのWEBカタログですが、WEBサイトの様式に縛られない大胆なレイアウトで、より商品を魅力的に見せることができています。
◆ニトリのWEBカタログは自由なレイアウトで商品を掲載

複雑なデザインをホームページ上で再現しようとすると、CSSと呼ばれるデザイン用ファイルの設定を細かく調整する必要があり、制作の手間も専門性も高くなります。しかし、WEBカタログであれば紙カタログの制作に集中すればよく、特別なデザインページを一から構築するよりも難易度を抑えて実現できます。
メリット④型番検索やスペック検索など、検索性が向上する
紙のカタログでは型番検索やスペック検索ができないため、ページをめくりながら目的の商品を探す必要がありますが、WEBカタログは、型番検索・キーワード検索・スペック条件による絞り込みなど、多様な検索機能を付けることができるため、カタログにない商品であったり、カタログに埋もれている商品もカンタンに見つけ出すことができます。
これにより、掲載点数が多いカタログでも短時間で目的の商品へ到達できるだけでなく、紙のカタログでは見落とされやすい関連商品や、カタログ未掲載の商品に気づくきっかけにもなります。
メリット⑤客先や現場での印刷利用がしやすい
中小企業庁の「 中小企業白書 2024年版」によると、中小企業のBtoB事業者におけるDXの普及度は高くはなく、2023年の段階でも「紙や口頭による業務が中心」の企業は30.8%※も存在しており、まだまだ「紙」が主体の現場が多いのです。
※第7節 DX(デジタル・トランスフォーメーション)中小企業庁
例えば、仕入れ部品の選定に関する会議が行われる際、中小企業では今も紙のカタログを並べて比較する光景をよく目にします。筆者が所属するWEBマーケティング業界においても、業者やベンダーとの初回打ち合わせでは、紙の資料を手渡されることが一般的で、BtoB領域では紙文化が根強く残っているといわざるを得ません。
こうした状況の中で、WEBカタログはそのまま印刷したり、PDFをダウンロードして配布資料として活用したりできるため、顧客や現場での使い勝手が非常に高い点が大きなメリットとなります。
メリット⑥常に最新版を表示できるため「古い価格・廃番」の表示を防げる
紙のカタログでは、顧客の手元に古いバージョンが残っていることが多く、価格変更や廃盤情報が反映されていないまま問い合わせや発注につながってしまうケースがあります。しかし、WEBカタログであれば、常に最新版を表示できるため、古い情報による誤発注や認識違いを防ぐことができます。
また、社内営業も自社のカタログサイトを確認することで
自社社員「このバージョンが最新だな」
自社社員「お客さんに渡そうとしたカタログは古い!新しいのを手配しよう」
といったように、紙のカタログの最新版を調べる自社用のツールにもなるので、顧客体験を損なうことがなくなるのです。
メリット⑦分析機能で顧客ニーズをつかむことができる
WEBカタログの大きな利点として、顧客がどの商品ページを閲覧し、どの型番を頻繁に確認しているかといった行動データを取得できる点が挙げられます。
紙のカタログでは、どのページがよく読まれているかを把握することはできませんが、WEBカタログであれば閲覧回数や滞在時間、検索ボックスで検索されたキーワードなどの情報を分析し、顧客の関心領域を可視化できます。
この情報を活用することで、次回のWEBカタログの刷新のヒントにしたり、あるいはマーケティングや営業活動で顧客ニーズをとらえることができるようになるでしょう。
また、WEBカタログとECサイトを連携させている場合は、ECサイト側でリファラーを取得し、WEBカタログのどのページから注文が多いのか?なども把握することができるため、カタログとECサイトを横断した分析も可能となるのです。
BtoBサイトに求められるWEBカタログに必要な3つの機能
では、BtoBサイトのWEBカタログにはどのような機能が求められるのでしょうか。ここでは、筆者の経験を交えながら3つの機能を解説いたします。
機能①ログイン機能
BtoB事業者では、全てのユーザーに全てのカタログを公開するとは限らず、取引先ごとに取り扱い商品や価格が異なるケースもあります。そのため、WEBカタログにはユーザーを適切に制限するためのログイン機能が必要になります。
また、自社の商品情報を第三者にむやみに公開しないためにも、閲覧権限の管理は重要です。一般的なBtoBサイトでは、ユーザーが自由に会員登録できる形ではなく、自社が承認した企業に対してIDとパスワードを発行する仕組みが採用されます。
これにより、必要な取引先のみにカタログを提供し、機密性を保ちながら情報を管理することができます。
機能②検索機能
WEBカタログ内で目的の商品をすぐに見つけられない場合に備えて、型番や商品名を入力して検索できる機能は欠かせません。
利用者は、カタログを閲覧する中で関連商品を思い出したり、過去モデルの有無を確認したくなるなど、検索を起点とした行動を取ることがあるため、このようなユーザー行動に対応するためにも有用な機能です。
特に、ログイン機能を備えたクローズドなBtoBサイトの場合、Googleなど外部検索エンジンから商品ページに直接アクセスすることができないため、サイト内検索はユーザーが目的の情報に到達するために非常に重要な機能といえます。
機能③注文機能
WEBカタログに掲載されている型番や「注文はこちら」といった導線に、注文用のリンクを設置することで、ECサイトと連携した注文機能を持たせることができます。
ECサイトをすでに運用している場合であれば、商品ページへ遷移させるだけで既存の注文機能をそのまま利用でき、スムーズに発注へつなげることが可能です。ECサイトを持っていない企業であっても、注文専用フォームへのリンクを用意することで、見積依頼や簡易発注を受け付ける形に拡張できます。
BtoBの取引では、取引先ごとに価格が異なったり、事前に見積を取り交わすケースが多いため、一般的なBtoC向けECサイトでは対応しきれない場面があります。そのため、顧客ごとの価格管理や見積機能を備えた、下記の「スマレジEC・B2B」のようなBtoB専用のECサイトと連携させることが必要となります。
BtoB企業が「WEBカタログ」を導入する3つの方法
ここでは、WEBカタログの3つの導入方法を比較しながら解説します。
◆WEBカタログを導入する方法
方法①PDFファイルをアップロードしてホームページに設置
方法②WEBカタログ専用のツールを導入する
方法③BtoB用のクラウドECサイトを導入する
◆3つの方法の比較
|
初期費用 |
月額費用 |
ログイン機能 |
注文機能 |
検索機能 |
| 方法①PDFファイルをアップロード |
無料 ※ |
無料 |
× |
× |
× |
| 方法②WEBカタログ専用ツール |
数万円 |
数万円~ |
〇 |
△ |
〇 |
| 方法③BtoB専用クラウドEC |
数万円 |
数万円~ |
〇 |
〇 |
〇 |
※社内サーバーを利用する場合
まず、WEBカタログを実現する場合、特別なツールを導入しなくても、方法①でPDFをホームページに設置するだけで無料で実現することは可能です。その場合は、顧客側のPCやスマホにAdobe Readerのような、PDFビューワーが必要ですが、多くの端末には導入されております。
PDFを設置するだけでWEBカタログを実現できる点は非常に手軽ですが、検索性やユーザー体験の面ではどうしても限界があります。特に商品点数が多い場合、PDFをスクロールしながら目的の情報を探すのは負担が大きく、更新のたびにファイルを差し替える手間も発生します。
そのため、単純に情報を公開するだけでなく、ユーザーがスムーズに商品を探し、比較し、必要なデータへ素早くアクセスできる環境を整えたいBtoB企業にとっては、より高度な仕組みを導入する意義が大きくなります。
次に、方法②のWEBカタログ専用ツールを利用するケースでは、カタログの閲覧性が大きく向上します。ログイン機能を備えたツールであれば、顧客ごとに表示する価格を切り替えたり、限定商品の案内を行ったりといった個別対応も可能です。
また、検索機能の充実により、型番やカテゴリーから目的の商品をすぐに見つけられるため、発注担当者の業務負担を軽減できます。紙のカタログをそのまま再現しつつも、デジタルならではの利便性を付加できる点が、多くの企業に選ばれている理由と言えるでしょう。
そして方法③のBtoB専用クラウドECを導入する場合は、WEBカタログという形ではなく「ECサイト」という形でカタログを実現します。そのため商品閲覧から見積作成、注文処理までをワンストップで完結できるのが最大の特徴です。
ログイン後に顧客専用の価格を表示したり、在庫数や納期をリアルタイムで提示したりといった高度な運用も可能になります。そして発注管理や履歴確認などの業務プロセス全体をデジタル化できるため、取引量が多い企業ほど導入効果は大きくなります。
このように、同じWEBカタログでも導入方法によって実現できる機能や運用効果は大きく異なります。導入の目的や、現場の業務フロー、顧客との取引形態に応じて最適な方法を選択することが重要です。
理想は「WEBカタログ」と「ECサイト」の連携
日本全体のDXを推進するという観点だけでいえば、BtoB事業者もユーザーも、本来はWEBカタログではなくECサイトを活用するのが望ましい姿です。しかし、実際の国内のBtoBの現場では、今も紙の資料を基点に業務を進めている企業が多く存在します。そこで現実的な解決策として有効なのが、WEBカタログとECサイトを連携させる方法です。
下図をご覧ください。WEBカタログとECサイトを連携した際のイメージです。
◆WEBカタログとECサイトの連携

※画像は筆者が作成
この仕組みは難しくありません。WEBカタログ上の型番や商品名にURL属性を設定し、その遷移先をECサイトの商品ページに指定するだけで、WEBカタログとECサイトをシームレスにつなぐことができます。ユーザーはカタログを閲覧しながら、必要なタイミングでECサイトの注文ページへ移動できるため、カタログ閲覧から発注までの流れが一気通貫になります。
もしWEBカタログを導入する場合は、「スマレジEC・B2B」のようなクラウド型のBtoB専用ECサイトと組み合わせて運用することで、商品ページの作成も容易になり、URLをWEBカタログ内の型番リンクに紐づけるだけでスムーズに連携が実現できます。
クラウドのBtoB専用ECサイトなら「スマレジEC・B2B」
WEBカタログとECサイトを組み合わせることで、商品の閲覧から発注までを一気通貫で進められる仕組みが実現します。「スマレジEC・B2B」は、この流れをスムーズに実現するクラウド型のBtoB専用ECシステムです。
カタログで確認した商品を、そのままオンラインで数量入力・発注できるため、営業担当の案内負担を減らし、顧客側の操作性を高めることができます。
また、取引先ごとに価格や表示商品を切り替えられるため、卸販売の特性に合わせた柔軟な運用が可能です。
大量注文に便利な一括発注機能、在庫や注文データの管理、メール配信などの販促機能も標準搭載しており、受発注を効率化するだけでなく、売上アップを支える基盤としても有効に活用できます。
紙カタログやFAX中心の取引から脱却し、デジタルの受発注により営業プロセスを刷新したい企業にとって、スマレジEC・B2Bは強力なツールとなるはずです。
下記の公式サイトより資料をダウンロードして、ぜひその詳細をご確認ください。