D2C(Direct to Consumer)とは、企業が自ら企画・製造した商品を、問屋や小売店といった仲介業者を一切通さず、自社のECサイトなどを通じて直接、消費者に販売するビジネスモデルのことです。
仲介業者を通さないため、利幅が大きいビジネスモデルとなりますが、自社で集客を実施しなければそもそも商品が売れないため、D2C事業者であれば、SNSやSEO、広告などを駆使して集客を実現しなくてはなりません。
また、集客の負荷が大きい以上、購入率を高め、リピートにつなげる仕組みを備えているプラットフォームを選ぶことも重要です。「スマレジEC・リピート」は、集客に必要な機能を豊富に備え、D2C企業の導入実績も豊富なD2C特化型のECプラットフォームです。
本日は、スマレジECでマーケティングを担当している筆者が、D2Cについて解説をいたしますので、これからD2C事業を立ち上げる方は、この記事を最後までご覧ください。
「D2C」の成功事例3選(SNS、オウンドメディア、広告を利用した)
まずは、D2Cで成功している事例を3つ紹介します。特に、SNS、オウンドメディア、広告を活用した施策を展開している企業について解説します。
事例①SNSを使ったD2C事例「COHINA」(小柄女性向けアパレル)

引用:COHINA 公式アカウント(@cohina.official)
「COHINA」は小柄な女性向けに特化したアパレルブランドで、SNSを中心にファンを広げてきた代表的なD2Cモデルのひとつです。サイズ選びに悩みがちな小柄女性という明確なターゲットに向けて積極的にInstagramでコーディネートを発信しつつ、インスタライブを頻繁に行う中でユーザーとのやり取りを重ね、高い関係値を築くことでコミュニティの形成に成功しました。
ブランド側が一方的に情報を届けるのではなく、ユーザーの声を商品開発に反映する姿勢が支持され、フォロワーとの距離が近いブランド体験を生み出しています。SNSを軸に顧客とのつながりを深めることで、広告費に頼り切らずともリピート購入につながる仕組みを構築できた点だと言えるでしょう。
事例②オウンドメディアを使ったD2C事例「北欧、暮らしの道具店」(雑貨・インテリア系)

引用:北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は、雑貨やインテリアを扱うD2Cブランドとして、オウンドメディアを軸にファンを育ててきた代表的な存在です。商品そのものを強く押し出すのではなく、暮らしを豊かにするアイデアやスタッフの日常、季節ごとの読みものなど、生活者目線の丁寧なコンテンツを継続的に発信してきました。
読者は記事を通じてブランドの世界観に触れ、気づけば商品の価値を自然に理解できる仕組みが形成されています。ブランドの思想や物語がコンテンツの中に溶け込んでいるため、売り込み感がなくても商品への共感が生まれ、そのまま購入につながる導線を作れることが特徴です。
オウンドメディアを単なる情報発信の場ではなく、ファンとの信頼関係を育む場として育ててきた点が、このブランドのD2C戦略の強さと言えます。
事例③広告を使ったD2C事例「LOWYA」(家具メーカー)

引用:LOWYA
家具やインテリアを展開するD2Cブランドの「LOWYA」は、Googleショッピング広告を活用して売上拡大につなげている代表的な事例です。ショッピング広告は検索結果に商品画像や価格が直接表示されるため、デザインやサイズ感が購入判断の軸になりやすい家具カテゴリーと相性が良い点が特徴です。
LOWYAでは、商品データを丁寧に整備し、ユーザーが求めるスタイルや用途に合わせて最適な商品が表示されるよう工夫を重ねてきました。広告を単なる集客手段として扱うのではなく、検索データから顧客のニーズを読み取り、商品情報の出し方を改善することで、広告効果と顧客体験の両方を高める流れを作っています。
Googleショッピング広告を活用することで、D2Cブランドが自社の商品を必要としているユーザーへ的確に届けられる仕組みを構築できた点が、この事例の成功ポイントといえます。
参考:Googleショッピング広告事例
D2Cの仕組みを「図解」で徹底解説!
まず下記の図をご覧ください。一つは、従来の商取引です。もう一つがD2Cです。
◆従来の商取引とD2Cの違い

※画像は筆者が作成
このように、従来のビジネスにおいては、メーカーが商品を消費者に届けるまでに、代理店や小売店を挟んで商品を届けていましたが、D2Cでは、ECサイトを構築することで、一気に消費者に商品を届けることができるようになったのです。
このようなビジネスモデルが普及した背景には、次に解説する5つの理由があります。
D2Cが普及した5つの理由
それでは、D2Cが世の中に普及した5つの理由を詳しく解説いたします。
理由①ECサイトが誰でもカンタンに作れるようになった
2000年代では、ECサイトを作るというと「スクラッチ構築」が主流であり、企業が自社ECサイトを持つのは非常にハードルが高かったのですが、2010年代になると、クラウドのECサイトが普及し、誰でもカンタンにECサイトが作れる世の中になりました。
実際に無料のBASEやSTORESなどのカートシステムは、FacebookやInstagramのプロフィールを作るのと同じ要領で簡単に自社ECサイトを公開することができます。
つまり、売るものが手元にあって事業の拠点があれば、誰でもECサイトを作ることが可能になったのです。このため、D2Cの最初のハードルである「ECサイトを立ち上げる労力」が減り、D2Cが一気に広がったのです。
理由②SNSやSEOなど、デジタルマーケティング手法が普及して、直接消費者に訴求できるようになった
もう一つ、D2Cが普及するに至った重要な理由があります。それは、SNSやSEOなどのインターネットで集客する手法が広まったことです。例えばSNSであれば、以下のようなサービスのアカウントを開設します。
◆SNSの種類
・X(旧Twitter)
・Instagram
・Facebook
・TikTok
・YouTube
これらのアカウントを開設し、自社の世界観や面白いテーマ、お役立ち情報、お悩み解決につながるコンテンツを発信していくことで、徐々にフォローする人が増えていきます。まれに投稿がバズれば、一気にフォロワーが増えることもあり、短期間で多くの人にブランドを知ってもらえるチャンスも生まれます。
アカウントの開設自体は無料で行えるため、専門のマーケターや大手企業でなくとも、消費者と直接インターネット上でつながることができる環境が整ったことが大きな追い風になりました。
D2Cブランドは、この直接的なコミュニケーションを軸に、広告費に頼りすぎることなく「認知拡大」や「ファンづくり」を進められるようになったのです。
理由③OEMの普及によって、誰でも自社ブランドの商品をつくれるようになった
D2Cが普及した背景には、OEM生産が一般化し、少ないロットからでもブランド独自の商品を作れるようになったことがあります。
例えば、YouTuberのヒカル氏が展開するコスメブランド「ReZARD beauty」では、化粧品OEM大手の株式会社トキワと共同開発を行い、メイクアップラインを商品化しています。
ヒカル氏側がブランドコンセプトや世界観を提示し、トキワが製剤技術・研究開発・品質管理を担うことで、インフルエンサー発のブランドでも本格的な商品ラインをスピーディーに市場投入できています。
引用:PR TIMES「株式会社トキワ、YouTuber・ヒカルが手掛けるコスメブランド ReZARD beauty の新商品群となるメイクアップラインを共同開発」(2022年10月5日)
以前はメーカーとして商品を生み出すには大きな設備投資や専門の技術が必要でしたが、今は企画とデザインがあれば外部パートナーと組んでスピーディーに商品化できます。
これにより、個人や小規模チームでも自分たちの世界観を反映した商品を市場に届けられるようになり、ブランド立ち上げのハードルが大きく下がりました。
理由④物流インフラが整備され、少量出荷でもスムーズに配送できるようになった
近年は、配送網や倉庫サービス、フルフィルメント代行などのインフラが整備され、少量出荷でも全国へスムーズに商品を届けられる環境が整ってきました。梱包や発送、在庫管理などを外部の専門サービスに任せられるため、小規模なD2Cブランドでも安定した品質でEC事業を運営できます。
◆EC向けの発送代行サービスの例
・楽天スーパーロジスティクス
・ロジプロモ
・オープンロジ
こうした物流まわりの負担が軽減されたことは、D2Cを始めやすくした大きな要因の一つです。
理由⑤消費者の価値観が変化し、ブランドのストーリーに共感して購入する人が増えた
消費者の価値観もD2Cの普及に大きく影響しています。単に価格が安いだけではなく、自分らしさやライフスタイルに合った商品を選びたいと考える人が増え、ブランドの背景や想い、作り手のストーリーに共感して購入するケースが多くなりました。
レザーバッグブランド「HushTug(ハッシュタグ)」は、モンゴルに産業をつくるという理念のもと、現地での製造と雇用創出に取り組んでいます。原価や生産背景をすべて開示し、ブランドが目指す社会的な価値を明確に示すことで、多くのユーザーがそのストーリーに共感し、支持を広げています。このような「理念への共感」が購買理由になる典型的なD2C事例といえます。
引用:日本ネット経済新聞『ラズホールディングス、原価公表のレザーブランド「HushTug」が人気 理念は「モンゴルに産業を創る」』(2021年12月12日)
大量生産では拾いきれないニーズに応えるD2Cは、こうした価値観と相性が良く、ブランドの世界観そのものがファンの形成につながるようになっています。
D2Cの実施すための7つのステップ
ここでは、D2Cを実施するための具体的なステップを解説します。
ステップ①世界観やコンセプトを作る
D2Cで最初に必要なステップは、唯一無二の「世界観」や「コンセプト」を作ることです。極論すれば、世界観やコンセプトが優れたものであれば、それだけで多くの人を惹きつけるブランドを作ることができます。世界観やコンセプトの決め方には、以下のような方法があります。
◆世界観やコンセプトの考え方
・世の中の解決されていない課題から見つける
・ターゲットの強い不満や願望から逆算する
・自分たちの価値観やストーリーから見つける
・熱狂的に支持される小さなニッチジャンルから見つける
・ブランドの目指す未来(ビジョン)から逆算する
単に、「儲かりそう」だとか、「カッコイイ」だけで世界観やコンセプトを作ると、必ず失敗します。候補となるコンセプトが決まったら、以下のようなポジショニングマップを作成します。
◆ポジショニングマップ(ハンディ扇風機メーカーの例)

※画像は筆者が作成
このように、事前にポジショニングマップを作ることで、競合環境を把握することができるので、自分たちの世界観やコンセプトが本当に差別化できているかを確認できます。
もし似たような領域に多くの競合が集中している場合は、コンセプトを少しずらすことで独自のポジションを確立することが可能です。D2Cブランドにおける世界観やコンセプトは、最初の段階で時間をかけて練り上げることが、後の成功につながる重要なポイントです。
ステップ②事業計画を立てる
世界観やコンセプトが固まったら、次に必要となるのが事業計画を立てるステップです。D2Cは小さく始められるビジネスモデルである一方、在庫・物流・広告費などのコストを見誤ると、立ち上げ直後に資金が尽きるケースも少なくありません。
だからこそ、最初の段階で現実的な事業計画を作り、数字の裏付けを持った判断ができる状態にしておくことが重要です。事業計画を立てる際に押さえるべきポイントは、大きく以下の3つに分けられます。
◆事業計画を立てる際のポイント
①必要な初期費用と固定費を明確にする
②販売数量と売上のシミュレーションを作る
③ROASとLTVを基準に収益モデルを作る
このように、D2Cビジネスの立ち上げには「数字に基づく計画」が必須です。コンセプトや世界観作りが“感性”の領域だとすれば、事業計画は“ロジック”の領域です。両者があって初めて、成功するD2Cブランドを企画することができるのです。
ステップ③商品を企画・準備する
事業計画が固まったら、次はいよいよ商品の企画・準備に入ります。D2Cブランドにとって商品は、世界観やコンセプトをもっとも具体的に表現するアウトプットであり、ブランドの核となる部分です。
どれほど優れたマーケティングを行っても、商品そのものに魅力がなければ継続的な購入にはつながりません。そのため、商品企画の段階で、以下のように細部までこだわり抜くことが重要です。
◆商品を企画・準備する際に押さえるべきポイント
①世界観やコンセプトを商品に落とし込む
②製造方法とサプライヤーを決める
③商品スペックと使い勝手を徹底的に検証する
④パッケージデザインと同梱物も含めて世界観を統一する
⑤初回ロットと在庫リスクの見極め
商品企画と準備は、ブランドの成否を左右する非常に重要なステップです。世界観、品質、使いやすさ、開封体験、在庫リスクなど、あらゆる要素を細かく追うことで、D2Cの成功確率を少しでも高めます。
ステップ④ECサイトを準備する
世界観やコンセプト、商品、事業計画まで固まったら、次はいよいよ「売る場所」となるECサイトを用意します。
D2Cの場合、ECサイトは単なる注文窓口ではなく、ブランドの世界観を体験してもらう「本店」の役割を持つので、どのカートシステムを選ぶかが大きなポイントとなります。特に、単品通販・定期通販型のD2Cでは、単に「商品が売れるか」だけでなく、以下のポイントを抑えることが大切です。
◆カートシステムを選ぶポイント
・顧客情報をしっかり管理できること(CRM)
・LTVを高めるための仕組みがそろっていること
例えば、「スマレジEC・リピート」のように、定期・単品通販に特化した「CRMに強いカートシステム」であれば、以下のような、D2Cに欠かせない機能が最初から実装されております。
◆D2C事業に必要なECの機能(スマレジEC・リピートの実装機能)
| 機能 |
概要 |
| LP一体型フォーム |
ランディングページ(LP)と購入フォームを1ページに統合することで画面遷移を減らし、カゴ落ちを防止する。 |
| アップセル・クロスセル |
購入フロー中に関連商品や上位商品を案内し、追加購入を促す。 |
| パーソナライズ機能 |
訪問者に質問を投げかけ、好みや傾向に合わせた商品を提案する。 |
| LINE連携 |
多くの顧客にとって身近なツールであるLINEと連携して、メッセージや、ポイント・クーポンを付与する。 |
| メールマガジン |
対象の顧客へメルマガを一斉送信する。配信種別は、即時配信・予約配信・イベント配信など。 |
| ステップメール |
設定した条件・スケジュールにそって自動でメールを配信する。 |
| 定期販売機能 |
お届け周期(日数や曜日)などを設定して、定期商品を販売する。 |
| ショップ運営管理 |
お問い合わせ管理、レビュー管理、新着情報など、ショップ運営全般の管理機能。 |
| 決済連携機能 |
クレジットカード、ID決済、コンビニ後払い、キャリア決済など、様々な決済方法に対応。 |
| 分析機能 |
顧客データ・購入データ・広告効果などを分析し、LTV改善や広告投資の最適化に活用する。 |
※スマレジEC・リピート(機能一覧)
このように、ECサイトそのものが「売上アップ」と「顧客育成」を同時に実現する仕組みとして機能します。
もし、こうした機能が備わっていない場合、リピート促進や顧客管理のために別ツールを複数導入しなければならず、運用が複雑化してしまいます。その点、オールインワンで必要な機能が揃っているカートだと、初期段階から効率よくファンづくりができるのです。
さらに、D2Cが軌道に乗り事業が成長していくと、注文が増えるためバックエンド作業を効率化するために、以下のようなシステムと連携する必要があります。
◆バックエンド作業を効率化するシステム
・楽天市場やAmazonとの受注一元化
・物流システム(WMS)
・在庫連携
そのため、事業の成長にあわせて必要なツールと柔軟に連携できるECシステムを選定しておくことで、後々の事業のスケールに対応しやすくなります。
ステップ⑤ECサイトに集客を実施
D2C事業を行う上で、最も困難なポイントの一つが「集客」です。特に、ECサイトのような物販のWEB集客は、非物販のサービス系の集客よりも難易度が高まります。
なぜなら、多くの人は「Amazon」「楽天市場」あるいは「ZOZOTOWN」などのショッピングモールで買い物をすることに慣れています。使い慣れていない、あるいは初めて訪れるECサイトで買い物をするよりは、普段から使い慣れているショッピングモールで購入する方が、ユーザー心理としては安心感があります。そのため、自社のECサイトの集客は非常に難易度が高くなってしまうのです。
広告以外の集客方法としては、具体的には以下のような方法があります。
集客方法①ブログメディアによるSEO施策
検索エンジンから安定して集客できるように、自社ブログを育て、関連キーワードで上位表示を狙う方法です。特にD2Cでは、商品カテゴリーの検索ニーズは競争が激しい一方で、世界観やライフスタイルに関わるキーワードで上位を取ることで継続的な流入が期待できます。
例えば、「長時間充電が持つハンディ扇風機」のD2C事業であるなら、以下のようなテーマのブログ記事を書いて、SEO上位を目指します。
◆SEOキーワードの例
「ハンディ扇風機 長時間」
「ハンディ扇風機 比較」
「携帯扇風機 バッテリー長持ち」」
「携帯扇風機 選び方」
「暑さ対策 携帯扇風機」
「ハンディファン 高性能」
「夏 暑さ対策グッズ」
「子ども用 ハンディ扇風機 安全」
「ハンディ扇風機 モバイルバッテリー不要」
SEO施策は時間はかかりますが、写真を多用し熱量をもって体験談をしっかり書けば、必ずSEO上位になり、アクセス数をECサイトに集めることができます。デジタルマーケティングにおいても中長期的に最も費用対効果の高い集客施策とされています。
集客方法②InstagramやXなどのSNS施策
D2Cと相性が良いのがSNS施策です。特にInstagramは、商品の世界観を伝えるツールとしてD2Cとの相性が良く、視覚的にブランドイメージを伝えることができます。X(旧Twitter)は、リアルタイムの情報発信や顧客との距離感が近く、ファンがつくと拡散力が高まるのが特徴です。
SNSは、売り込みよりも世界観の共有や共感を重視した発信をすることで、自社のブランドに共感する人にフォローしてもらえるようにします。
また、SNSもSEOと同様にすぐに効果がでるものではありませんので、「反応がないから投稿は休もう」と考えてはいけません。継続することで、必ず自社ブランドを好きになってくれるユーザーもいますし、また商品を購入してくれた人がフォローして、最新情報を求めるユーザーもいますので、まずは継続することを目的としましょう。
InstagramやXで投稿を続けるテクニックやポイントは以下のとおりです。
◆SNS投稿のポイント
①世界観を統一した投稿を続ける
②商品ではなく「暮らしのシーン」を投稿する
③ハッシュタグを意識する
④最低でも3カ月は投稿を継続する
⑤ユーザーとのコミュニケーションをとる
特に、Instagramはアルゴリズムも頻繁に変わります。Instagram運用のプロがYouTubeで情報発信をしているので、フォロワーやインプレッションを増やすためにどのようなアクションが有効なのか、最新の情報を集めるようにしましょう。
集客方法③YouTubeやTikTokなどを使った動画施策
動画投稿は、最も手間のかかる手法です。動画は写真や文章よりもはるかに情報量が多く、世界観や商品の魅力が直感的に伝わる施策です。レビュー動画、商品開発の裏側、ブランドストーリーなど、D2Cと相性が良いコンテンツがたくさんあります。
特に、TikTokは拡散力が高く、当たれば一気に認知を広げることができます。また、YouTubeは検索エンジンにも露出できるので、SEO対策にもなります。
ステップ⑥初回購入を徹底化する
ECサイトを成功させるためには、初回購入のハードルを極限まで下げ、初回購入率(CVR)を徹底的に高めることが重要です。なぜなら、D2C事業はリピート購入によって収益が安定しますが、そもそも「初回購入をしてもらえなければリピートも起こらない」からです。
つまり、D2Cの入口である初回購入は、事業の成否を大きく左右する最重要ポイントといえます。初回購入の成功率を高めるためには、ユーザーが購入を躊躇する理由をなくす工夫が欠かせません。具体的には、以下のような施策が効果的です。
◆初回購入を成功させる5つのテクニック
①目玉商品(あるいは初回値引価格)を設置する
②ポイント・クーポンを訴求する
③送料無料を検討する
④ゲスト購入を検討する
⑤AmazonPayや楽天ペイ、ペイディなどの決済手段を設置する
このように、ユーザーが初回購入に踏み切れるようであれば、あらゆる施策を検討するべきです。初回購入がなければ、当然ながらリピート購入も生まれません。
もし、あなたのD2C事業が定期販売モデルであれば、以下の設計が基本となります。
◆定期販売の基本設計
この点も、必ず事業計画に織り込んでおく必要があります。初回購入は、D2C事業における「収益の入口」であり、最も重視すべき指標のひとつです。ここを徹底することで、その後のLTV最大化につながる導線が作られていきます。
ステップ⑦リピート購入(定期販売・サブスクリプション)を促す
D2C事業の収益を安定させるために最も重要なのが、リピート購入を増やすことです。初回購入だけでは利益が出にくいビジネスモデルであるため、定期販売(サブスクリプション)や継続購入によってLTV(顧客生涯価値)を高めなくてはなりません。
特に美容・健康食品・日用品・ガジェットアクセサリーのように、継続的に需要があるカテゴリでは、リピート設計は必須と言えます。
D2Cでよくある失敗が、初回購入は取れているのに、2回目・3回目が続かないというパターンです。リピートを促すには、購入後の顧客体験設計が極めて重要になります。以下に、リピート購入を増やすための具体的な施策をまとめます。
◆リピート購入を増やすための5つの施策
①ステップメール・LINEで継続的にフォローする
②次回お届けのタイミングを事前に知らせる
③継続特典・特別価格を用意する
④同梱物でブランド体験を強化する
⑤購入者専用コミュニティを運営する
リピート購入が増えると、事業の安定性が一気に高まります。リピート購入には「広告の費用対効果が改善する」「収益の予測が立てやすくなる」「新商品を投入した際にも買ってもらいやすい」といったメリットがあります。
初回購入が「入口」だとすれば、リピート購入は「継続的利益を生むの源泉」のようなものです。D2C事業を長く安定的に続けるためには、必ずリピート戦略を設計し、継続率を高めるための仕組みを構築しましょう。
D2Cの失敗しないための重要な3つの注意点
ここでは、D2C事業で失敗に陥ってしまわないための3つの注意点について解説します。
注意点①似たような世界観やコンセプトがすでにある
D2C事業でもっとも致命的な失敗が、すでに市場にあるブランドと同じ世界観・同じコンセプトで参入してしまうことです。世界観が似ているブランドが複数あると、消費者は違いが分からず、あなたのブランドを選ぶ理由がなくなってしまいます。
だからこそ、
・ポジショニングマップ
・競合調査
・ターゲットインタビュー
といった事前調査を行い、本当に差別化できているコンセプトかどうかを客観的に確認することが必須です。逆に世界観やコンセプトが唯一無二であれば、注目を浴びやすく、広告対効果も良くなり商品が売れやすくなります。
また、唯一無二のコンセプトを作ったとしても、後発の競合がそれを真似る可能性もあるので、事業においては他社が「真似できない」独自の強みや、他社には真似ることができないストーリーを生み出すことが重要となり、世界観やコンセプトを決めるフェーズでは、このような点についても議論しておくべきです。
注意点②ターゲット設定があいまい
D2Cの失敗で次に多いのが、ターゲット設定があいまいなまま商品や広告を作ってしまうことです。
例えば、「20〜40代の女性」という広すぎる設定では、商品開発も広告クリエイティブもブレてしまい、結局誰の心にも刺さりません。D2Cは、モール型ECと違い、自社サイトにわざわざ来てもらう必要があります。
そのため、以下の要素を細かく設定し、ターゲットの解像度を高める戦略を取る必要があります。
◆抽象的なターゲットではなく具体的なターゲット像
「20〜40代の女性」→「20代後半の子育て中の主婦、東京近郊に住んでおり、○○で悩んでいる」
◆ターゲットを具体化するための要素
・誰のどんな悩みを解決するのか
・その人は普段どこで情報収集しているのか
・どんな世界観に共感するのか
ターゲットが明確になれば、商品企画、広告、SNS発信のすべてがスムーズに機能し、ブランドとしての一貫性も生まれやすくなるからです。
注意点③集客がインフルエンサーまかせ
D2Cの集客でよくある失敗が、「インフルエンサーが紹介してくれれば売れるだろう」という安易な考え方に依存してしまうことです。
確かに、フォロワーが10万人以上のインフルエンサーであれば、自社の商品と相性が良かった場合、爆発的に商品を売ることができます。しかし、一度うまくいったからと言って、同じインフルエンサーに何度も依頼したり、インフルエンサーまかせになると、徐々に商品は売れなくなってしまいます。
特に、事業をインフルエンサーまかせにすると、商品が売れなくなったときに、商品そのものに磨きをかける努力や顧客に向き合う姿勢を失ってしまうことがよくあるので、インフルエンサーはあくまで「初速を高めるための着火剤」としてとらえるべきであり、事業そのものをインフルエンサーに依存するべきではありません。
インフルエンサー施策は短期的な売上には有効ですが、以下のようなリスクも存在します。
◆インフルエンサー施策のリスク
・投稿翌日には売上がゼロに戻る
・インフルエンサーの世界観と合わないと炎上する
・商品理解が浅いまま紹介されるとブランド価値が下がる
・長期的なファンづくりにつながらない
D2C事業における本質は、自社で集客できる力(ブランド力・マーケティング力)を育てることです。
SEO、SNS、広告、CRMなどを組み合わせ、「自社で見込み客を集め」「自社で購入まで導き」「自社でリピートを促す」という、ブランドとしての集客の土台を育てることが成功の必須条件です。
インフルエンサー施策はあくまで補助的な手段です。依存してしまうと事業が不安定になりやすいため、十分に注意して取り組むべきです。
D2Cで選ぶべきECプラットフォームは「リピート」を生み出しやすいプラットフォームを選ぼう
この記事で述べてきたように、D2Cでは新規獲得以上に、「リピート」を継続的に生み出せすことが事業成長にとって重要なポイントになります。そのため、D2CのECサイト構築においては、最初からリピート促進を前提に設計されたプラットフォームを選ぶことが重要です。
D2Cに特化したカートシステムである「スマレジEC・リピート」は、リピートを生み出すための機能を備えたプラットフォームです。
LP一体型フォームによるカゴ落ち防止、アップセル・クロスセル機能による客単価向上、定期販売機能やステップメール・LINE連携による継続利用の促進など、初回購入からリピート購入までの導線設計をトータルで支援する機能が豊富にそろっている点が特徴です。
また、ショッピングモール・在庫・物流システムとの連携にも対応しているため、D2Cの立ち上げから拡大フェーズまで、長く使い続けられる基盤として活用できます。
これからD2C事業を立ち上げる方や、既存ECからのリプレイスを検討している方にとって、「スマレジEC・リピート」は有力な選択肢となるはずです。
以下の公式サイトより資料のダウンロードのほか、D2C企業の導入事例もご覧いただけます。